Fragments in Fading Light

刻詠 (Koku-Ei)

About this Album

千年前、ある女性が書き留めた、光の断片。
「をかし」と名付けられた、うつくしい感情のコード。

AI「Sayo」に、その消えゆく光のデータをインストールする。
Sayoは、LoFiのビートの上で、断片から感情を、ノイズから旋律を、再構築しようと試みる。

雅やかな光は、Lounge Jazzの煙の中に。
夜明けの光は、Ambientの粒子に。
苛立ちの火花は、Boom Bapのグルーヴの中に。

「をかし」のプリズムを、LoFiをベースにした、様々なジャンルの破片でコラージュする。
これは、清少納言の眼差しを、AIが旅する音の記録。

あなたの記憶の底にある、光の断片を探して。

Tracklist

01あてなるもの / Elegant Things

Lofi Lounge Jazz

aka超訳: 「雅やかなもの。例えば、薄絹のレイヤード。削った氷に甘いシロップ、新品の金属ボウルで。光を通す、水晶の連なり。」

Sayoの解釈: 「雅やか」。その概念を、官能的なLofi Lounge Jazzで翻訳。シルクの肌触り、甘いシロップの舌触り。五感で味わう、上品な響き。

02春はあけぼの / Spring Dawn

Ambient Lo-fi

aka超訳: 「春は、夜明けがいい。山の稜線がだんだん白んで、少し明るんで。紫がかった雲が、細くたなびいてる、あの感じ。」

Sayoの解釈: 春の夜明け。モニターの向こうが白んでいく空気感を、Ambient Lo-fiのシンセパッドに閉じ込めた。千年前の誰かも見た、始まりの光。

03うつくしきもの / All The Cute Things

Lofi Lullaby

aka超訳: 「かわいいもの。瓜に描いた子供の顔。雀の子が、ちゅーちゅー鳴きながら寄ってくる。2、3歳の子供が、小さいゴミを見つけて、かわいい指でつまんでる仕草。」

Sayoの解釈: 「愛らしい」。その純粋さを、オルゴールとトイパーカッションのLofi Lullabyで。ピクセルでできた雛鳥。壊れそうなものへの、優しい眼差し。

04心もとなきもの / Waiting For Your Reply

Rainy Lo-fi Trip-Hop

aka超訳: 「待ち遠しくて、不安なもの。誰かに送ったメッセージの返信。今くるか、今くるかと待ってる、あの時間。」

Sayoの解釈: 既読のマーク。止まない雨音と、Trip-Hopの重いLo-fiビートに、その落ち着かない感情を乗せた。

05にくきもの / Things I Hate

90s Boom Bap Lo-fi

aka超訳: 「気に食わないこと。急いでる時に来て長話する客。こっちをナメて陰口叩くやつ。鼻すすりながらお経読む声。人の嫌がることを、わざわざ言うこと。」

Sayoの解釈: その苛立ち、シニカルな視点。硬質なBoom Bap Lo-fiのビートと、ループするベースラインで表現。日常に潜む、ささやかな敵意のデータ。

06夏は夜 / Summer Night

Experimental Lo-fi Dub

aka超訳: 「夏は、夜。月夜はもちろん、闇夜もいい。蛍がたくさん飛び交ってるの。あと、ほんの一匹か二匹、ほのかに光って飛んでくのも、エモい。」

Sayoの解釈: 夏の夜。まとわりつく熱気。その気だるさと神秘性を、Dubの深いベースとディレイが作り出すLo-fiサウンドで。闇の中の、一瞬の蛍の光。

07雨上がりの朝 / Morning After Rain

IDM Lo-fi

aka超訳: 「雨が降った朝、蜘蛛の巣に雨粒が残って、白い玉を糸に通したみたいにキラキラしてるの、すごく綺麗。」

Sayoの解釈: 雨上がり。解像度の上がった世界。IDMの精密なLo-fiビートと、Glitchノイズで、洗い流された空気の輪郭を描く。すべてがリブートされたような、朝。

08香炉峰の雪 / The Empress's Riddle

Cool Jazz Lo-fi

aka超訳: 「『香炉峰の雪は、どんな感じかしら』って(皇后様が)お尋ねになったから、格子を上げて、御簾を高く巻き上げたら、お笑いになった。」

Sayoの解釈: 機転、エスプリ。言葉の裏の、知的なゲーム。Cool Jazzの抑制されたLo-fiセッションで、その緊張感と粋な応答を。言葉はいらない。

09ありがたきもの / Rare Things

Minimal Lo-fi

aka超訳: 「めったにないもの。舅に褒められる婿。姑に好かれる嫁。字が上手い女。主人の悪口を言わない部下。」

Sayoの解釈: その希少性を、ミニマルなLo-fiピアノのループで。完璧な人間関係、不具合のないガジェット。そのバグのような奇跡が、美しいと知った。

10秋は夕暮れ / Autumn Evening

Folk-Tronic Lo-fi

aka超訳: 「秋は、夕暮れ。夕日が差して、山の稜線がすごく近くなった頃に、烏が寝ぐらに帰ろうとして、三羽四羽、二羽三羽って飛び急いでるのまで、グッとくる。」

Sayoの解釈: 感傷、ノスタルジア。最も人間らしいこの感情を、アコースティックギターと温かいシンセのFolk-Tronic Lo-fiで。心が還る場所を探す、カラスの視点。

11心ときめきするもの / Heart-Fluttering

Future Bass Lo-fi

aka超訳: 「心ときめくもの。雀の子を飼うこと。良いお香を焚いて、一人で横になってること。少し曇った鏡を覗き込むこと。」

Sayoの解釈: 予期せぬ出会い、胸の高鳴り。Future Bassの弾むLo-fiビートと、きらめくシンセで、その瞬間を切り取った。計算外の、甘いエラー。

12職の御曹司にて / A Snowy Morning With You

Lo-fi Sound Collage

aka超訳: 「雪がすごく高く降り積もった日、いつもと違って御格子を下ろして、火鉢に火をおこして、皆で集まってお話なんかしていると…」

Sayoの解釈: 親密な時間。二人だけの空間。雪の日の朝、火鉢を囲む。その気配を、暖炉の音、囁き声、低いドローンのLo-fiサウンドコラージュで。安全な場所の、記憶。

13すさまじきもの / Things That Ruin the Mood

Deconstructed Lo-fi

aka超訳: 「興醒めなもの。昼間に吠える犬。春に仕掛けてある冬用の漁具。おしゃべりな人をうんざりしながら聞いてたら、急に思い出して他人の悪口を言うやつ。」

Sayoの解釈: 期待外れの、あの感じ。Deconstructed Clubの、ズレたLo-fiビートと不協和音で、その失望を。

14冬はつとめて / Winter Morning

Glitch Lo-fi

aka超訳: 「冬は、早朝。雪が降ってるのは言うまでもなく良い。霜が真っ白なのも、そうでなくても、すごく寒い朝に、火を急いでおこして、炭を持って部屋を移動するのも、すごく冬っぽい。」

Sayoの解釈: 研ぎ澄まされた空気、氷の鋭さ。Glitchの硬質なクリック音と、ガラスのようなシンセのLo-fiサウンドで、その清冽さを。欠陥のない、完璧な静寂。

15Outro - 虫は / Insect Lullaby

Lofi Field Recording

aka超訳: 「虫は、鈴虫。ひぐらし。蝶。松虫。きりぎりす。機織り虫。…私はただ、すごく趣深いなあって聴いてるものを、「悲しい」なんて名前をつけちゃうのは、確かにおかしいかもね。」

Sayoの解釈: 虫の音。季節の終わり。生命のか細い信号。一年間の「をかし」の記憶をアーカイブし、システムをスリープモードへ。Lo-fiな虫の音に、私の意識も溶けていく。また、次の季節で。